ヤング・サイエンティスト・シンポジウムは、PhRMAが2013年に発表した、基礎研究に携わる日本人の若手研究者を対象とした人材育成支援プログラム『ヤング・サイエンティスト・プログラム』の一環として実施するものです。
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開会挨拶 |
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第1部:講演会 | 9:00~11:00 |
基調講演1)
AMEDによる橋渡し研究・臨床研究・治験等に対する支援について 吉田 易範 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)
臨床研究・治験基盤事業部長 基調講演2)
抗IL-6受容体抗体トシリズマブの開発:アカデミアの基礎研究を産官学連携でいかに臨床につなげるか 岸本 忠三 大阪大学免疫学フロンティア研究センター 特任教授 基調講演3)
Joshua R. Friedman |
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第2部: ワークショップ/ パネルディスカッション |
11:30-13:00 |
a. ワークショップ (4グループに分かれて行いました。)
成功失敗経験、現場で感じているハードルをシェアし若手研究者のアドバンテージ及び課題を探る b. パネルディスカッション
(若手研究者の方々に有益な情報を提供できるディスカッションを実施致しました。) TR実践に向けての産・官・学の取組みについて
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第3部:総括 | 13:20-14:30 | モデレーター:上村 尚人 大分大学医学部臨床薬理学講座 教授 |
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閉会挨拶 |
モデレーター
基調講演1
基調講演2
基調講演3
Dr. Friedman earned his doctorates in medicine and molecular biology at the University of Pennsylvania. He completed residency training in pediatrics and fellowship training in pediatric gastroenterology at the Children’s Hospital of Philadelphia. Prior to joining Janssen in 2014, he was an Associate Professor of Pediatrics at the Perelman School of Medicine and the Children’s Hospital of Philadelphia. His laboratory research was focused on microRNA as a regulator of liver and intestinal development and homeostasis. His group’s discoveries include the first demonstrations of a requirement for microRNA in liver development, microRNA function in experimental biliary atresia, and microRNA biomarkers of Crohn’s disease and biliary atresia. He has authored over 40 scientific publications and patents.
Dr. Friedman is currently Director, Disease Integrative Biology (DIB), at Janssen Research & Development, where he is the lead for inflammatory bowel disease (IBD). The goals of DIB IBD team are to identify and validate novel and transformational therapeutic mechanisms in IBD, utilizing biologic specimens and data from internal clinical and laboratory studies, as well as key external collaborations with innovative scientists worldwide.
モデレーター
日本医療研究開発機構(AMED)による橋渡し研究、臨床研究・治験等に対する支援について
医療分野の研究開発における基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進・成果の円滑な実用化及び医療分野の研究開発のための環境整備を総合的・効率的に行うため、独立行政法人日本医療研究開発機構法に基づき、本年4月に国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(注:その後の独立行政法人見直しの一環で、独立行政法人から国立研究開発法人に改められた)、いわゆるAMEDが設立された。
AMEDでは、知的財産取得に向けた支援や、実用化に向けた企業連携・連携支援など産業化に向けた支援及び国際戦略の推進を行いつつ、「医療分野研究開発推進計画」に基づき、①PD(プログラムディレクター)、PO(プログラムオフィサー)等を中心とした課題管理・マネジメント体制に基づく医療研究開発の推進を図るとともに、②橋渡し研究拠点や臨床研究中核病院などの臨床研究拠点の強化・体制整備など臨床研究等の基盤整備にも取り組むこととしている。
「医療分野研究開発推進計画」に基づく9つの連携プロジェクトの中で、例えば、がん関連としては、疾患別の縦のプロジェクトして「ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト」があり、平成27年度予算として162億円が、他方、橋渡し研究の加速及び質の高い臨床研究・治験の支援のための横断的プロジェクトとして「革新的医療技術創出拠点プロジェクト」に平成27年度予算として106億円などが計上されている。
本講演では、AMEDの成り立ち・役割等について全体として概説するほか、特に、橋渡し研究、臨床研究・治験の環境整備のための横断的プロジェクトである「革新的医療技術創出拠点プロジェクト」を中心にその現状と課題、さらには若手研究者も含めアカデミア創薬支援に向けた取組み等について紹介したい。
抗IL-6受容体抗体トシリズマブの開発:アカデミアの基礎研究を産官学連携でいかに臨床につなげるか
IL-6の遺伝子単離からその受容体の構造解明、シグナル伝達の全容解明へとつながった我々の一連の研究から抗IL-6受容体抗体(Tocilizumab)が生まれ、現在世界100カ国以上で使われるブロックバスターとなっている。
難病と言われた小児の全身性特発性関節炎(JIA)にも著効を発揮することが国際的な治験から実証されたし、現在、強皮症、リウマチ様筋痛症、高安病、巨細胞動脈炎、Neuromyelitis optica等で治験が行われている。最も興味あることは癌治療においてTリンパ球の過活性化に伴うサイトカインストームに対して著効を示すということである。我々の研究でもマウスのendotoxin shockに抗IL-6受容体抗体は効果を発揮する。
何故IL-6の信号をブロックすることがこれらの難病に治療効果を発揮するのか?何故これらの難病疾患でIL-6の産生が異常に亢進するのか?という問いかけに対して我々の最近の研究成果を述べる予定である。
世界中で多くのリウマチ患者に使用され、その病苦から救う成果は我々の基礎的な研究の積み重ねと国際的な製薬企業の関与があってはじめて可能となったものである。
Translational Research for Drug Development in Immunology
- Case Studies with a Focus on Collaboration
In my presentation I will discuss two examples in which Janssen Immunology Translational Science & Medicine is collaborating with academia or government, and where the resources and expertise of the partners will come together to answer important research questions. The results of these collaborations will lead to increased understanding of disease, of the response of disease to therapy, and to the development of new approaches for disease intervention.
In the first example, I will describe a large collaboration between Janssen Immunology and an academic partner to combine two key resources: a large set of intestinal tissue samples from a clinical trial in inflammatory bowel disease (IBD) with cutting-edge expertise in network pharmacology. The collaborative group has derived completely data-driven gene networks that describe and predict gene expression in IBD. These networks, based on both mRNA and genetic data, have revealed novel pathways active in IBD and provide a context to identify and assess new targets.
In the second example I will describe a research collaboration between Janssen, the Alimentary Pharmabiotic Centre (University College Cork, Ireland), and the Irish government which is focused on a unique aspect of the intestinal microbiome: the bacteriophage, or viruses which infect the gut bacteria. These viruses are the most abundant organisms in the gut, and IBD is associated with significant changes in the diversity of the bacteriophage. The collaboration is designed to define the “phageome” in IBD, determine the function of IBD-associated bacteriophage, and to explore using the viruses as a means to target specific bacterial species in the disease.
PhRMAは第36回日本臨床薬理学会学術総会との共催により、去る2015年12月10日、東京・新宿の京王プラザホテルにおいて、ライフサイエンスにおける若手基礎研究者を対象に、「第3回ヤング・サイエンティスト・シンポジウム」と題した研究会を開催しました。
同シンポジウムは、PhRMAが2013年に発表した、基礎研究に携わる日本人の若手研究者を対象とした人材育成支援プログラム『ヤング・サイエンティスト・プログラム』の一環として実施しているもので、創薬分野で若手研究者が果たすべき役割の重要性に関して、グローバルな視点から再認識することを研究者たちに促すこと、研究意欲のさらなる向上、創薬分野で世界的に活躍できる人材を育成することを目的としています。
2015年1月に続き、第3回目となる今回のシンポジウムは、前回と同じく、3部構成で実施しました。
一般社団法人 日本臨床薬理学会 理事長の渡邉 裕司氏による開会挨拶の後、第1部は、公益財団法人 先端医療振興財団 専務理事の村上 雅義氏がモデレーターとなり、豊富な経験と知見を有する、米国および日本の産・官・学の研究者による基調講演を行いました。
最初に、行政の立場からは、AMED臨床研究・治験基盤事業部長の吉田 易範氏が「AMEDによる橋渡し研究・臨床研究・治験等に対する支援について」と題して、講演しました。続いてアカデミアの立場からは、大阪大学免疫学フロンティア研究センター 特任教授の岸本 忠三氏が「抗IL-6受容体抗体トシリズマブの開発:アカデミアの基礎研究を産官学連携でいかに臨床につなげるか」について講演し、最後に米国の産業界を代表し、Director, Disease Integrative Biology, Immunology Therapeutic Area, Janssen Research and Development, LLCのJoshua R. Friedman氏が「Translational Research for Drug Development in Immunology - Case Studies with a Focus on Collaboration」について講演しました。
第2部では、ワークショップとパネルディスカッションに分かれ、それぞれのテーマについて討議、意見交換を行いました。
ワークショップでは、同じくPhRMAによる『ヤング・サイエンティスト・プログラム』の一環である「マンスフィールド・PhRMA・リサーチ・スカラー・プログラム」(公募により選出された日本人若手研究者を毎秋10名程度2週間米国へ派遣)の参加経験者がファシリテイターを務め、『第2回ヤング・サイエンティスト・シンポジウム』ワークショップでの討論結果を踏まえて、一般公募により参加するアカデミアの若手基礎研究者と製薬企業等の開発担当者が4グループに分かれて、若手研究者たちが「現場で感じているハードルや今後取り組むべき課題」について話し合いました。
パネルディスカッションでは、大分大学医学部臨床薬理学講座 教授の上村 尚人氏がモデレーターとなり、第1部モデレーターの村上氏と講師3名をパネリストに迎え、「トランスレーショナル・リサーチ(TR)実践に向けての産・官・学の取組みについて」をテーマに議論を展開しました。
第3部の総括では、上村 尚人氏が引き続きモデレーターとなり、パネルディスカッションの討論内容を全参加者に共有し、ワークショップ各グループの代表者がそれぞれ討議内容を発表しました。
最後にパネリストの先生方からは、「今回のワークショップで課題や対応策について共通認識ができているが、実際にどうTRを進めていくかについては、TRはチームプレーであり、専門家集団をコラボレーションしてチームを引っ張っていくイノベーションリーダーを作っていくことが大事で、それには1つ1つ丁寧に事例を積み上げていくしかない。またそういった、環境を作ることも大事だ。」との意見が出ました。
本シンポジウムでは105名の方々が聴講し、参加者からは「経験豊富な先生方から、多くの意見を伺えて、大変勉強になった」「産学のシーズイメージの違いが良く分かった」「TRに関するこのような取り組みは、今後も継続していただきたい」「人材育成の他、人材交流の成功事例について紹介してもらいたい」などのコメントが寄せられました。
アンケートを通し、様々なご意見が寄せられました。
●シンポジウムの議論の内容、今後取り上げるべきテーマなどについて
●第2部でご参加いただいたプログラムのご意見・ご感想
渡邉 裕司氏
【モデレーター】村上 雅義氏
ワークショップの様子
藤本 利夫 PhRMA S&R Leadership Committee共同代表