モーリーン・アンド・マイク・マンスフィールド財団、
米国研究製薬工業協会(PhRMA)
厚生労働省、経済産業省
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)
日本製薬工業協会(JPMA) 欧州製薬団体連合会(EFPIA)
開会挨拶 | 14:00~ | ベンジャミン・セルフ モーリーン & マイク・マンスフィールド財団 副理事長 |
研究者プログラム紹介 | 【モデレーター】 |
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第1部:基調講演 | 14:10~ |
講演1
「米国の創薬エコシステムを視察して」 ※録画動画を配信 大熊 ひとみ |
講演2
「プログラム参加者への期待と産学交流の活性化」 ※録画動画を配信 中村 健一 |
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講演3
「Vision, Network & Change- マンスフィールドーPhRMA研究者プログラムから学んだこと」 ※LIVEで配信 勝野 雅央 |
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15:40~15:45 休憩 |
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第2部 | 15:45~ |
パネルディスカッション ※LIVEで配信
【テーマ】
【モデレーター】 【パネリスト】 |
閉会挨拶 | 16:55~ | 石橋 太郎 PhRMA Science & Regulatory Leadership委員会 委員長 (ファイザーR&D合同会社 社長) ※プログラム、登壇者、講演タイトル及び内容などは都合により予告無く変更する場合がございます。 |
Mansfield-PhRMA Translational Research Symposium事務局(株式会社ジャパン・カウンセラーズ内)
MAIL:yss@jc-inc.co.jp
第1部:講演1 講師
第2部:パネリスト
第1部:講演2 講師
第2部:パネリスト
第1部:講演3 講師
第2部:モデレーター
第2部:パネリスト
北海道大学大学院薬学研究科修士課程を修了し、三共株式会社 医薬開発部門にて医薬品の臨床開発およびプロジェクトマネジメントを担当。その後ファイザー株式会社にて神経疾患領域、オンコロジー領域等の医薬品の臨床開発に従事。その間、日本製薬工業協会 医薬産業政策研究所に出向し、新薬の臨床開発および承認審査に関する研究を実施。在職中に東京大学大学院薬学系研究科にて博士(薬学)を取得。2019年1月よりファイザーの日本における医薬品開発、製造販売後調査等を担うファイザーR&D合同会社 社長。2020月10月よりPhRMA Science & Regulatory Leadership委員会 委員長を務める。
「米国の創薬エコシステムを視察して」
創薬開発はいくつものレベルでリスクを背負いながら進められ、他の産業と比較して成功確率ははるかに低い。そのため、経験が少ない組織においては科学者/研究者は創薬における「死の谷(The Valley of Death)」に陥りやすく、薬剤開発まで至らないケースが多い。そのトランスレーショナルギャップを埋めるためには産官学の連携および開発における技術と知識をもった組織が欠かせない。
アカデミア施設を含め、創薬開発に関わる我々には何ができるか。それは開発における”De-risking”であると言われている(Dr. Kaitlin, Tufts Center for the Study of Drug Development)。
創薬開発を実施しやすい基盤を作ることは重要であり、日本においてはその一部の役割を担うのがアカデミア施設である。臨床試験・治験実施における経験とノウハウを活かし、完遂率の高い試験運営が重要である。また、各プレイヤーであるベンチャー企業、製薬企業、アカデミア、規制当局、患者団体などとの連携は必要不可欠であり、アカデミアはその中心となって開発を導くことは可能だと考える。さらにアカデミアの臨床現場でしか得られない臨床情報を活かし、アンメットメディカルニーズへのアプローチといった戦略的思考、データシェアリングとデータ利活用を通じた新たな開発への貢献などが今後は開発のカギとなる。
国立がん研究センター中央病院では産学民連携の「MASTER KEYプロジェクト」という希少がん開発の基盤となるプラットフォーム研究を立ち上げた。本プロジェクトはレジストリ研究および複数の臨床試験からなり、企業との連携を通じて希少がん患者を対象とした治療開発を促進することが目的である。
本講演では米国の創薬エコシステムの視察を通じて学んだもの、および国立がん研究センター中央病院で行っている治療開発に向けた研究について紹介する。
「プログラム参加者への期待と産学交流の活性化」
国立がん研究センターからは、これまで多くの若手研究者をマンスフィールド-PhRMA研究者プログラムへ派遣し、その多くが現在進行中の臨床開発プロジェクトの中心的存在となっている。希少がんに対する産学共同開発基盤であるMASTER KEYプロジェクト、アジア臨床試験ネットワークを構築するATLASプロジェクト、中央病院・研究所が一体となったTR・reverse TR推進のための産学連携の枠組みであるTsukiji TR Boardなど、多くの臨床開発プロジェクトが当センターで進行中であるが、若手研究者がマンスフィールド-PhRMA研究者プログラムで得た知見とマインドが、こうしたプロジェクトのアイデアのもととなっている。さらに、2017年のシンポジウムで産学交流の活性化がテーマとなったが、このシンポジウムでの対話がきっかけとなり、ファイザー社やノバルティス社と国立がん研究センターとの間で産学連携プログラムを立ち上げた。これらのプログラムでは参加した若手研究者が、製薬企業側の開発論理やファイナンス的な考え方、さらには企業文化を学ぶことができ、非常に好評を得ている。マンスフィールド-PhRMA研究者プログラムへの参加者には、米国における開発の最前線を体験し、アジア地域における新たな臨床開発プロジェクトのヒントを1つでも多く持ち帰ってくることを期待するとともに、産学連携のさらなる推進の中核となることを期待している。
「Vision, Network & Change- マンスフィールド―PhRMA研究者プログラムから学んだこと」
私は2014年に本プログラムに参加し、米国東海岸の様々な施設・機関を2週間にわたり訪問し、各所で見学とディスカッションを行いました。この2週間は極めて充実した期間で、その後の私の研究者としてのビジョンやモチベーションに多大な影響を与えたと思っています。私がプログラムに参加した時には、「TRエコシステム」という言葉の真の意味を理解できませんでしたが、プログラムに参加し、その後もTR研究に身を置く中で、その意味と意義を深く理解できるようになりました。私は上司や同僚とともに、神経難病の基礎研究から医師主導治験そして承認申請までを経験しましたが、TRという研究分野を効率的かつ迅速に進めるためには、様々な役割をもつステークホルダーが連携して研究開発を進める必要があり、そのためには学術のみならずビジネス、規制、倫理など様々な要件が整う必要があります。すなわち、研究者の「独りよがり」ではTRは完遂できないということです。そのために研究者として何をすべきか、マンスフィールド―PhRMA研究者プログラムは私たちに多くのことを教えてくれました。プログラムを経験したのち、スピンオフとして日本で開催したトランスレーショナルリサーチ・コロキアム(PhRMA主催)では、難治性神経疾患に対する治療法開発における課題解決に向けて、アカデミア・行政・企業で話し合うことができ、その成果は私が所属する日本神経学会における若手医師向け産官学創薬スクールへとつながっています。また、私は幸いにもTRに関する教育(卓越大学院CIBoG)や産学連携(名古屋大学メディカルイノベーション推進室)に参画する機会を得ました。そうした活動においても、本プログラムで得た知識・着眼点・人脈などが生かされています。本講演では、私が本プログラムで得たことをお話しするとともに、それがどのように展開しているかをお伝えしたいと思います。
2013年から「ヤング・サイエンティスト・プログラム」の一環として米国研究製薬工業協会(PhRMA)の支援のもと、モーリーン・アンド・マイク・マンスフィールド財団(本部:米国ワシントンDC)とともに実施している、グローバルに活躍する人材育成を目的とした米国研修プログラムです。
具体的には、医薬に携わる日本の若手研究者を米国に短期間派遣し、米国におけるトランスレーショナルリサーチ、保健医療政策、医薬品研究、規制慣行について知見を広げ、この経験をもとに新たなシーズ創出へと活かす機会を提供しています。
派遣される日本の医療・医薬品研究分野に携わる研究者の方々は、ワシントンDC、フィラデルフィアおよびボストン等において、米国政府の医療政策部署、シンクタンク、医薬品研究部門、民間製薬会社、大学等における関係者が、それぞれ新薬開発から製品化に至るまでの過程でどのように連携しているかを含め、米国のトランスレーショナルリサーチや医療エコシステムの実情を幅広く学ぶ機会を得ています。
今回のシンポジウムでも、企画段階から「マンスフィールド-PhRMA研究者プログラム」参加経験者の皆様にご協力を頂きました。
PhRMAは去る2020年12月20日に「Mansfield-PhRMA Translational Research Symposium ~ Learn from the past and challenge the future ~」と題したオンライン シンポジウムをモーリーン&マイク・マンスフィールド財団と共催しました。
PhRMAはトランスレーショナル・リサーチ推進支援活動の一環として、2013年より「マンスフィールド―PhRMA研究者プログラム」への支援やアカデミア、規制当局、製薬企業などで研究開発に携わっている研究者など様々な方にご参加頂き、異なる立場からの議論をもとに、直面する課題に対するソリューションを探る機会としてクローズドの会議「トランスレーショナルリサーチ・コロキアム」、そして若手研究者を対象にした創薬分野の人材育成支援プログラム「ヤング・サイエンティスト・シンポジウム」を実施してきました。
本シンポジウムは、これまでに「マンスフィールド―PhRMA研究者プログラム」に参加し、産官学の立場で活躍されている参加者たちが、米国研修で学んだ経験を活かした現在の取り組みや、研究者プログラムに参加して見えた日本のトランスレーショナル・リサーチに関する課題点などについて発表し、様々な視点からディスカッションすることで、人材交流を促し、研究意欲のさらなる向上、ひいては創薬分野で世界的に活躍できる人材を育成することを目的として実施しました。
●第1部基調講演
研究者プログラムの第7期生である国立がん研究センター中央病院の大熊 ひとみ先生と大熊先生の勤務先の上長にあたる中村 健一先生、第2期生である名古屋大学の勝野 雅央先生にご講演いただきました。
大熊 ひとみ先生からは2019年の研究者プログラムにて、「米国の創薬エコシステムの視察を通じて学んだこと」をテーマに米国研修中に感じたことや日本とのギャップについてお話しいただきました。また、現在国立がん研究センター中央病院で関わっている希少がんの治療薬開発を目的とした産学民連携の「MASTER KEYプロジェクト」の取り組みや長期的な展望をご説明いただき、日本が今後目指すべき方向性として、産官学民のより強固な連携、グローバルとの積極的なコラボレーションが必要であること等をご発表いただきました。
国立がん研究センター中央病院ではこれまでに7名を研究者プログラムに派遣いただいており、中村 健一先生からは、帰国後に参加者たちが職場でどのように活躍されているか、そして参加者に何を期待するか等についてご講演いただきました。また、「MASTER KEYプロジェクト」においても、参加者が中心となって米国研修で得た経験をプロジェクトに活かされていること等をご紹介いただきました。2017年に国立がん研究センターとPhRMA共催で実施したヤング・サイエンティスト・シンポジウムでの対話がきっかけとなり、グローバル製薬企業と国立がん研究センターとの間で産学連携研修プログラムが立ち上がり、多くの気づきがあったことについてもお話しいただきました。
第1部最後の講演は第2期生として本プログラムに参加した名古屋大学の勝野 雅央先生にご自身が研究者プログラムに参加されて学んだこと、そしてそれが帰国後にどう活かされているかを「Vision」「Network」「Change」の3つに分けてご講演いただきました。米国研修での気づきや同じ志をもちつつも、異なる分野の若手研究者との出会いにはじまり、帰国後のネットワークの広がりから現在取り組まれている国内外でのアカデミア間の連携および産官学連携についてご紹介いただきました。
●第2部パネルディスカッション
第2部のパネルディスカッションは、勝野 雅央先生が座長を務め、中村健 一先生、大熊 ひとみ先生に加えて PhRMA Science & Regulatory Leadership委員会 石橋 太郎委員長がパネリストとして参加しました。本ディスカッションでは、事前に研究者プログラムの参加者へ実施したアンケート調査の結果から、主に「人材交流」「エコシステム」「若手研究者教育」「データセントリック」「倫理・社会」「キャリア」をキーワードに議論しました。また、オンラインで聴講していた研究者プログラムの2期生である桑原 宏哉先生(東京医科歯科大学 脳神経病態学分野 脳神経内科)、水野 和恵先生(プリファード・ネットワークス株式会社)にもキャリアパスの変化についてコメントいただきました。
約3時間のオンライン・シンポジウムは石橋 太郎委員長による閉会挨拶とともに幕を閉じました。
「マンスフィールド―PhRMA研究者プログラム」とは
PhRMAの支援のもと、モーリーン・アンド・マイク・マンスフィールド財団とともに実施している創薬分野の若手研究者を対象とした人材育成プログラムの一つで、毎年1回公募により選出された日本人若手研究者を2週間米国へ派遣し、米国の政府や大学、製薬企業がいかに連携して創薬を推進し、新薬を患者さんに届けているかを体験する機会を提供しています。
■『第5回ヤング・サイエンティスト・シンポジウム』
~がん治療薬開発に必要なBio-infrastructure とは~